【世界遺産】青森・小牧野遺跡へ!縄文人が築いた巨大な環状列石を歩いてきました

小牧野の森・どんぐりの家の全景

青森県青森市にある「小牧野遺跡」を訪れました。

小牧野遺跡は、縄文時代後期前半につくられた環状列石を中心とする遺跡です。「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産のひとつとして、2021年に世界文化遺産に登録されています。

今回訪れてみて印象的だったのは、環状列石を見るだけで終わる場所ではなかったこと。

まず「縄文の学び舎・小牧野館」で小牧野遺跡について学び、その後「小牧野の森・どんぐりの家」を経て実際の遺跡へ。展示と現地をセットで巡ることで、小牧野遺跡をより深く楽しむことができました。

まずは「縄文の学び舎・小牧野館」へ

最初に訪れたのが「縄文の学び舎・小牧野館」です。

縄文の学び舎・小牧野館の入口

建物を見て、どことなく学校のような雰囲気を感じましたが、それもそのはず。ここは2012年に閉校した旧野沢小学校の校舎を改修して利用している施設です。

館内に入ると、エントランスには小牧野遺跡や縄文時代について学べる展示が並んでいました。

縄文の学び舎・小牧野館の展示

中央には発掘調査を体験できるコーナーもあり、展示を見るだけではなく、体験しながら遺跡について学べる工夫がされています。

そして館内を歩いていると、廊下や教室の配置などに、かつて小学校だった面影がしっかりと残っています。

縄文の学び舎・小牧野館で学ぶ

「企画展示室」「第2収蔵室」といった表示が並ぶ廊下も、元学校という建物の特徴を生かしていることが伝わってきました。

縄文時代の暮らしや祈りを分かりやすく紹介

展示室では、小牧野遺跡から出土した資料などを通して縄文時代の暮らしを紹介しています。

復元された竪穴建物もあり、縄文時代の生活を立体的にイメージできるのが面白いところです。

縄文の学び舎・小牧野館で事前学習

小牧野遺跡は単に石が並んでいる場所ではありません。

環状列石のほかにも、竪穴住居跡、土器棺墓、土坑墓群、貯蔵穴、捨て場、湧水遺構、道路跡などが発見されています。

縄文の学び舎・小牧野館の開設

さらに土器や石器だけでなく、三角形岩版や円形岩版など、祭祀との関係をうかがわせる遺物も出土しています。

縄文の学び舎・小牧野館の館内

館内を見学してから遺跡へ向かうと、「なぜここに大規模な環状列石がつくられたのだろう」と想像が膨らみます。

小牧野遺跡ならではの「環状列石」

小牧野遺跡最大の見どころが環状列石です。

縄文時代後期前半につくられたもので、中央帯・内帯・外帯からなる3重構造が特徴です。

さらに注目したいのが石の並べ方。

縄文の学び舎・小牧野館の案内図

小牧野遺跡では、楕円形の石を縦に置き、その両側に平らな石を横に置く独特な配石が見られます。この方法は「小牧野式配列」と呼ばれています。

これほど大規模な環状列石をつくるためには、大量の石を集め、運び、配置しなければなりません。

現在のような重機がない縄文時代に、どのようにこれだけのものを完成させたのか。実際の遺跡を目の前にすると、その労力の大きさまで想像してしまいます。

「小牧野の森・どんぐりの家」へ

小牧野館で予習した後は、実際の遺跡へ向かいました。

遺跡に隣接しているのが「小牧野の森・どんぐりの家」です。

小牧野の森・どんぐりの家

森の中に建つ木造の施設で、外観からも周囲の自然によくなじんでいます。

小牧野の森・どんぐりの家の全景

中には休憩できるテーブルと椅子が用意され、小牧野遺跡について紹介するパネルも並んでいました。

小牧野の森・どんぐりの家の館内

小牧野館とは役割が少し異なり、こちらは実際に遺跡を歩く際の拠点として利用しやすい施設です。

小牧野の森・どんぐりの家の展示

森の中を歩いて環状列石へ

どんぐりの家を出ると、周囲には豊かな森が広がっています。

小谷野遺跡

舗装された散策路を歩いていくと、やがて視界が開け、環状列石が姿を現しました。

博物館の展示ケース越しではなく、縄文人が実際にこの場所につくった遺跡を、その土地の空気を感じながら見ることができるのは現地ならではです。

小谷野遺跡の環状列石

環状列石は石を円形に並べただけの単純なものではなく、その周辺からは墓なども発見されています。

祭祀や儀礼、葬送に深く関係した場所だったと考えられているそうです。

森に囲まれた静かな場所で用意されたベンチに座って環状列石を眺めていると、数千年前の縄文人もこの場所に集まっていたのだと思うと不思議な感覚になります。

小谷野遺跡の休憩スポット

展示を見てから遺跡を歩くのがおすすめ

今回、小牧野遺跡を訪れて良かったと思ったのが、「縄文の学び舎・小牧野館」と実際の遺跡を両方見学できたことです。

何も知らずに環状列石だけを見るのと、その背景を知ってから見るのとでは印象がかなり違います。

小牧野館では出土品や模型、復元展示などから縄文人の生活や精神文化について学び、現地では実際の地形や環状列石の大きさを自分の目で確かめる。

この順番で巡ることで、展示されていた内容が現地でつながっていく感覚がありました。

なお、小牧野館と小牧野遺跡は同じ場所にあるわけではなく、約1.5km離れています。小牧野遺跡の見学期間は5月1日から11月15日までで、冬季は積雪のため見学できません。

縄文の学び舎・小牧野館の案内図

青森には三内丸山遺跡をはじめ縄文時代を感じられる場所が数多くありますが、小牧野遺跡では森の中に残された環状列石と、そこに込められた縄文人の祈りや精神世界に触れられるのが大きな魅力です。

派手な観光施設とはまた違い、静かな森の中を歩きながら数千年前の人々に思いを馳せることのできる場所。

「北海道・北東北の縄文遺跡群」を巡る旅では、ぜひ訪れておきたい遺跡のひとつです。

というわけで、良い旅を!

その他の世界遺産のレポートはこちら。

●小牧野遺跡
・住所:〒030-0152 青森県青森市野沢小牧野41
・電話:017-757-8665

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