宮部みゆきって嫌いじゃないけど、
これは
すごく難しかったなー。
これは
かしこいヒトだったらすらすらと読んでしまうのではなかろうか。
というわけで、
三島屋シリーズ第一弾。
読みすすむうちに、
宮部ワールド全開の表現にやられまくり。
====ここから先はちとネタバレあります。====
個人的には
「凶宅」がお気に入り。
ただ、
この「凶宅」がストーリーの最後までつながるので、
それぞれの登場人物をしっかり覚えて読みすすめないと
このヒトは殺されたヒトなのか、殺してしまったヒトなのか、殺された奥様の弟なのか、
立場が混乱するわけです。
したがって、私のようにあまりかしこくないヒトは350ページを過ぎた頃から
がくんとペースが落ちてしまうわけですな。
とはいうものの、
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顔はしわだらけなのに脂ぎっており、立ち姿は精悍にも見えるが腰は曲がっており、ふるまいは慇懃だが女子どもを見る目には年甲斐もない色毒があり、男どもを見る目には量り売りの芋を見るような素っ気無い険があり、
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といった人物描写は貧しい私の脳の中でさえイメージするのに十分すぎるほどの量であり、
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床の間の掛け軸は恵比寿鯛釣りの図。信楽焼の背の高い花入れには、程よく色づいたイガを三つつけた栗の枝が無造作に投げ込んだように見せかけて、実は入念に活けてある。違い棚には青磁の香炉や神細工の狛犬。
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といった客間の表現だけでもたたみの匂いがこちらまで伝わってくるかのよう。
そういった意味ではとても
勉強になった1冊でもありました。
こういった表現で、
ヒトの頭に入り込んで感動させる手法もあるんだねぇ。
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